スイッチバック、体験しました



 会員のYさんからの投稿です。
 単線の山越え区間でのスイッチバックは汽車旅の楽しみのひとつだと思う、ぐるっと回るだけのループ線より断然面白いと思う。常紋信号場のスイッチバックが使用休止となり、勾配型スイッチバックする列車は北海道からは姿を消してしまった(遠軽は構内の配線の都合上進行方向を変えざるを得ないだけで、勾配とは関係ない)。北海道から姿を消したばかりでなく、全国のJRで旅客列車が使用する勾配型スイッチバックは9カ所まで減り、もはや「絶滅危惧種」と化している。
 GWの休みを利用して、JR東日本に残る勾配型スイッチバック3カ所を楽しむ旅に出た、すなわち、信越線の二本木駅篠ノ井線姨捨駅、その隣の桑ノ原信号場だ。釧路から小樽までは車で、小樽からはフェリーで新潟へ、新潟からは高速バスで信越線の高田まで向かった。
 フェリーが新潟に着いてから間に合う時間帯で、二本木に停車してスイッチバックする列車から乗り継げ、なおかつ篠ノ井線の桑ノ原信号場にも停まる列車は長野17:11発甲府行き普通列車までない。そこで、高田14:59発の「妙高8号」から汽車旅をスタート。
 「妙高8号」は普通列車だが、妙高高原・黒姫観光客のための長野新幹線接続列車として機能していることから、かつて「あさま」で使用されていた189系特急型電車6両編成が充当されている。このため、スイッチバックをリクライニングシートで体験できる。
 二本木駅では、上り勾配の「妙高8号」は、まず、本線から左に分岐するスイッチバック線に入っていったん停止、場内信号が青になるのを待ってバックで本線を渡り上りホームに停車する。二本木では、「妙高8号」は、交換する下り普通列車より先に着き、後から発車する。
 携帯のカメラではこれが限界だが、写真のように、乗った列車がスイッチバックするだけでなく、先に発車してからスイッチバックして本線を下っていく普通列車を、一部始終を眺めてからの発車となり、十分にスイッチバックを堪能できる(写真は下り普通列車が入ってくるところ)。
 長野で桑ノ原信号場にも停車する甲府行き普通列車に乗り継ぐ。同信号場は、待避する列車以外はスイッチバックすることなく通過してしまうので、ほとんどの列車は停まらない。この列車も、1つ手前の稲荷山駅で下り普通列車との交換を済ませてしまうが、後続の下り特急「しなの」との交換のため桑ノ原信号場を使うダイヤになっている。こちらも上り勾配の途中にあり、本線から左に分岐するスイッチバック線に入線し、ポイントが切り替わったらすぐにバックして加速線に入線して停車し、下り「しなの」の通過を待って、本線に出ていく。そして、次の姨捨駅では列車交換も待避もしないが、姨捨駅はスイッチバックしないとホームがないため、忙しくスイッチバックして発車していく。
 こうして、短時間の間に効率的に3カ所のスイッチバックを満喫し、東京へ向かった。何度乗ってもスイッチバックは楽しいから、姨捨を発車した後「おかわり!」と言いたいところだが、JR東日本管内ではこれで全てだ…

【写真説明】
二本木駅旅客ホームから、下り列車が下り旅客ホームに入線してくる場面を撮影。
長野方から本線を下ってきた列車が写っているあたりから分岐し、画面左下に坂を
下っていくのが本線直江津方、画面左前方の雪囲いのある平坦な線がスイッチバック線、手前がホーム。